「実質賃金がプラスになった」「まだマイナスが続いている」と、ニュースによって言い方が違うことがあります。今の実質賃金はどうなっているのでしょうか。
ここでは、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」から、最新の月(2026年8月分確報、2026年10月23日公表)と、2025年の1年間の平均(確報、2026年2月25日公表)を分けて並べます。
この記事で分かること
- 最新の2026年8月分(確報)の実質賃金は、前の年の同じ月より1.6%増
- 2025年の1年間では、実質賃金は1.3%減。2022年から4年続けてマイナス
- 2025年の給料(名目)は、建設業が月平均462,801円(2.0%増)、製造業が430,282円(4.2%増)
実質賃金とは
実質賃金は、給料の額(名目賃金)を物価の上がり方で割り戻したものです。給料が3%上がっても、物価が4%上がれば、買えるものは減るので、実質賃金はマイナスになります。
毎月勤労統計調査では、給料の額を、消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で割って実質賃金を出しています。
最新の月:2026年8月は1.6%増
| 項目 | 2026年8月(確報) | 前の年の同じ月から |
|---|---|---|
| 現金給与総額(名目) | 311,563円 | +3.9% |
| 消費者物価指数 | ― | +2.2% |
| 実質賃金 | ― | +1.6% |
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和8年8月分結果確報」(2026年10月23日公表)。事業所規模5人以上
2026年8月の給料(現金給与総額)は、全体の平均で311,563円で、前の年の同じ月より3.9%上がりました。物価の上がり方(2.2%)より大きかったため、実質賃金は1.6%のプラスです。
8月分の実質賃金は、10月7日公表の速報では1.5%増でしたが、10月23日公表の確報で1.6%増に改められました。
建設業・製造業の2026年8月
| 産業 | 現金給与総額(2026年8月) | 前の年の同じ月から |
|---|---|---|
| 調査産業計 | 311,563円 | +3.9% |
| 建設業 | 426,305円 | +3.2% |
| 製造業 | 369,392円 | +5.2% |
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和8年8月分結果確報」(2026年10月23日公表)
2026年8月の建設業の給料は、前の年の同じ月より3.2%上がり、製造業は5.2%上がりました。どちらも物価の上がり方(2.2%)より大きい数字です。ただし、月の給料は残業や手当で動くので、1か月の数字だけで「建設業・製造業の給料が物価より上がり続けている」とは言えません。
なお、産業別の実質賃金は、この発表では示されていません。
1年の平均:2025年は1.3%減で4年連続マイナス
| 年 | 名目賃金 | 消費者物価 | 実質賃金 |
|---|---|---|---|
| 2022年 | +2.0% | +3.0% | −1.0% |
| 2023年 | +1.2% | +3.8% | −2.5% |
| 2024年 | +2.8% | +3.2% | −0.3% |
| 2025年 | +2.3% | +3.7% | −1.3% |
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和7年分結果確報」(2026年2月25日公表)。前の年からの変化です。事業所規模5人以上
1年の平均で見ると、給料(名目)は4年続けて上がっていますが、物価の上がり方のほうが大きく、実質賃金は2022年から4年続けてマイナスでした(2021年は+0.6%)。
2025年は、給料が2.3%上がった一方で物価が3.7%上がり、実質賃金は1.3%減です。2020年を100とした実質賃金指数は、2025年は98.0でした。
2025年の建設業・製造業の給料
| 産業 | 現金給与総額(2025年の月平均) | 前の年から |
|---|---|---|
| 調査産業計 | 355,941円 | +2.3% |
| 建設業 | 462,801円 | +2.0% |
| 製造業 | 430,282円 | +4.2% |
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和7年分結果確報」
2025年の給料の上がり方は、製造業が4.2%で、物価の上がり方(3.7%)より大きくなりました。建設業は2.0%で、物価の上がり方より小さい数字です。
ただし、産業別の実質賃金そのものは発表されていないので、この比べ方は目安です。
この数字から言えること・言えないこと
言えること
- 2026年8月分(確報)の実質賃金は、前の年の同じ月より1.6%増
- 2025年の1年間の実質賃金は1.3%減で、2022年から4年続けてマイナス
- 2025年の給料の上がり方は、製造業4.2%、建設業2.0%
言えないこと
- 自分の実質賃金が上がったかどうか。全体の平均で、人によって給料の上がり方も、よく買うものの値上がりも違います
- 2026年の1年間がプラスになるかどうか。まだ8月までで、残りの月の数字は出ていません
- 建設業・製造業の実質賃金。産業別の実質賃金は発表されていません
※この記事は2026年10月23日時点の数字です。毎月勤労統計調査は毎月、速報と確報が出るので、最新の月は厚生労働省のページで確かめてください。
建設業・製造業の給料の中身は、建設業の給料はボーナス込みでいくら?、工場の給料は残業代込みでいくら?、最低賃金2026年の一覧にまとめています。
自分の給料が物価に追いついているか考えるときに
2026年8月の実質賃金はプラスでしたが、1年の平均では2025年まで4年続けてマイナスでした。ただし、次のような人は、この数字だけで今の給料が低いかどうかを決めないほうが確実です。
- 自分の給料が、去年と比べて何%上がったかを計算したことがない人(全体の平均は、自分の上がり方とは違います)
- 月の給料だけを比べて、ボーナスや手当を入れていない人(7月などボーナスの月は、数字が大きく動きます)
- 1か月の速報だけを見て、プラスかマイナスかを決めている人(確報で変わることがあり、1年の平均とは違います)
まず去年と今年の年間の給料(ボーナス・手当込み)を比べ、物価の上がり方(2025年は3.7%)と比べてから、ほかの会社と比べるほうが確実です。
出典
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和8年8月分結果確報」(2026年10月23日)
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和7年分結果確報」概況・参考資料(2026年2月25日)


