残業の多い職場で働いていると、「過労死や、仕事が原因の心の病気は、どの業種で多いのか」が気になります。
ここでは、厚生労働省が2026年7月15日に公表した「令和7年度 過労死等の労災補償状況」から、脳・心臓疾患と精神障害の労災の件数を、業種別に並べます。
この記事で分かること
- 令和7年度に労災と認められた(支給決定)のは、脳・心臓疾患が217件(うち死亡67件)、精神障害が1,082件(うち自殺・自殺未遂76件)
- 脳・心臓疾患でいちばん多い業種は運輸業・郵便業の64件。建設業は21件で3番目
- 精神障害でいちばん多いのは医療・福祉の292件、次が製造業の158件
令和7年度の全体:脳・心臓疾患217件、精神障害1,082件
| 区分 | 請求件数 | 支給決定件数 | そのうち死亡・自殺 |
|---|---|---|---|
| 脳・心臓疾患 | 1,254件 | 217件 | 67件(死亡) |
| 精神障害 | 4,958件 | 1,082件 | 76件(自殺・自殺未遂) |
出典:厚生労働省「令和7年度 過労死等の労災補償状況」(2026年7月15日公表)
請求件数は、働く人や家族が「仕事が原因だ」として労災を申し出た件数です。支給決定件数は、そのうち労働基準監督署が労災と認めた件数です。
脳・心臓疾患は、長時間の仕事などが原因で起きる脳出血・脳梗塞・心筋梗塞などです。精神障害は、仕事の強いストレスなどが原因で起きる、うつ病などの心の病気です。
令和7年度は、脳・心臓疾患の請求が1,254件で前の年度(1,030件)より増えました。一方で、労災と認められたのは217件で、前の年度(241件)より24件減っています。
脳・心臓疾患:運輸業64件、建設業21件
| 順位 | 請求件数が多い業種 | 支給決定件数が多い業種 |
|---|---|---|
| 1 | 運輸業,郵便業 257件 | 運輸業,郵便業 64件 |
| 2 | サービス業(他に分類されないもの)166件 | 卸売業,小売業 37件 |
| 3 | 建設業 164件 | 建設業 21件 |
| 全業種 | 1,254件 | 217件 |
出典:厚生労働省「令和7年度 過労死等の労災補償状況」(業種は日本標準産業分類の大分類)
脳・心臓疾患で労災と認められた217件のうち、運輸業・郵便業が64件で、ほぼ3件に1件です。建設業は請求が164件、労災と認められたのが21件で、どちらも3番目に多くなっています。
精神障害:医療・福祉292件、製造業158件
| 順位 | 請求件数が多い業種 | 支給決定件数が多い業種 |
|---|---|---|
| 1 | 医療,福祉 1,288件 | 医療,福祉 292件 |
| 2 | 製造業 720件 | 製造業 158件 |
| 3 | 卸売業,小売業 645件 | 卸売業,小売業 116件 |
| 全業種 | 4,958件 | 1,082件 |
出典:厚生労働省「令和7年度 過労死等の労災補償状況」
精神障害では、医療・福祉が請求・支給決定とも最も多く、製造業が2番目です。建設業の請求は246件でした。
5年間の推移:精神障害の労災認定は約1.7倍に
| 年度 | 脳・心臓疾患 請求件数 | 脳・心臓疾患 支給決定件数 | 精神障害 支給決定件数 |
|---|---|---|---|
| 令和3年度 | 753件 | 172件 | 629件 |
| 令和4年度 | 803件 | 194件 | 710件 |
| 令和5年度 | 1,023件 | 216件 | 883件 |
| 令和6年度 | 1,030件 | 241件 | 1,056件 |
| 令和7年度 | 1,254件 | 217件 | 1,082件 |
出典:厚生労働省「令和7年度 過労死等の労災補償状況」別添資料1(脳・心臓疾患)・別添資料2(精神障害)
精神障害で労災と認められた件数は、令和3年度の629件から令和7年度の1,082件へ、5年で約1.7倍になりました。脳・心臓疾患の請求も、5年で約1.7倍に増えています。
精神障害の原因になった出来事
精神障害で労災と認められた件数を、原因になった出来事別に見ると、多いのは次のとおりです。
| 出来事 | 支給決定件数 |
|---|---|
| 上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた | 222件 |
| 顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた | 127件 |
| セクシュアルハラスメントを受けた | 127件 |
| 仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった | 113件 |
出典:厚生労働省「令和7年度 過労死等の労災補償状況」
いちばん多いのはパワーハラスメント(222件)です。長い時間働くことだけでなく、職場での人との関わりも、心の病気の労災の大きな原因になっています。
この数字から言えること・言えないこと
言えること
- 令和7年度に労災と認められたのは、脳・心臓疾患217件、精神障害1,082件
- 脳・心臓疾患では運輸業・郵便業が最も多く、建設業は3番目(21件)
- 精神障害では医療・福祉が最も多く、製造業が2番目(158件)
- 精神障害の労災認定は5年で約1.7倍に増えた
言えないこと
- どの業種が「いちばん危ないか」。この記事の数字は件数で、働く人の数に対する率ではありません。働く人が多い業種は、件数も多くなりやすくなります
- 自分の会社の危なさ。同じ業種でも、残業時間や職場の環境は会社ごとに違います
- 本当に仕事が原因で病気になった人の全体の数。労災を請求しなかった人は、この数字に入りません
- 請求した年と認められた年の対応。支給決定は、その年度に決定した件数で、前の年度に請求したものも含みます
よくある質問
Q. 過労死が多い業種は?
令和7年度に、脳・心臓疾患で労災と認められた件数がいちばん多いのは運輸業・郵便業の64件で、卸売業・小売業の37件、建設業の21件が続きます。国の資料は業種(産業)別の件数で、職業(職種)別のランキングではありません。また件数なので、働く人が多い業種ほど多くなりやすい点に注意が必要です。
Q. 仕事が原因の心の病気(精神障害)の原因で多いのは?
令和7年度に精神障害で労災と認められた1,082件を、原因になった出来事別に見ると、上司などからのパワーハラスメントが222件でいちばん多く、顧客や取引先などからの著しい迷惑行為が127件、セクシュアルハラスメントが127件、仕事内容・仕事量の大きな変化が113件でした。
Q. 過労死等の労災は増えている?
精神障害で労災と認められた件数は、令和3年度の629件から令和7年度の1,082件へ、5年で約1.7倍になりました。脳・心臓疾患は、請求が753件から1,254件に増えましたが、労災と認められた件数は令和7年度が217件で、前の年度(241件)より減っています。
長時間労働の職場で働き続けるか考えるときに
過労による病気の労災は、建設業でも製造業でも毎年認められています。ただし、次のような人は、この数字だけで仕事を変えるかどうかを決めないほうが確実です。
- 自分の毎月の残業時間を、記録していない人(働いた時間は、労災かどうかを判断するときの大事な材料になります)
- 体調やストレスの不安を、まだ医師や会社の産業医・相談窓口に話していない人
- 業種を変えれば長時間労働がなくなると考えている人(件数は業種全体の数で、会社ごとの違いは分かりません)
まず自分の残業時間を記録し、会社や労働基準監督署に相談してから、ほかの会社と比べるほうが確実です。体調に不安があるときは、仕事より先に医療機関に相談してください。
出典
- 厚生労働省「令和7年度『過労死等の労災補償状況』を公表します」(2026年7月15日)
- 同 別添資料1「脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況」、別添資料2「精神障害に関する事案の労災補償状況」


