解体や改修の現場で働いていると、「アスベスト(石綿)の事前調査は資格がないとできないのか」「2026年から何が変わったのか」が気になります。
ここでは、厚生労働省の「石綿総合情報ポータルサイト」と環境省のページから、事前調査の決まりと資格を並べます。
この記事で分かること
- 建物や工作物を解体・改修するときは、工事の大きさにかかわらず、前もって石綿が使われているかの事前調査が必要
- 建築物は2023年(令和5年)10月1日以降に着工する工事から、工作物は2026年(令和8年)1月1日以降に着工する工事から、資格のある人が事前調査をしなければならない
- 調査の資格は、建築物の3種類と工作物の1種類の4種類。資格によって調べられる範囲が違う
資格のある人の調査は、いつから?
| 対象 | 資格のある人による事前調査が必要になった工事 |
|---|---|
| 建築物 | 2023年(令和5年)10月1日以降に着工する工事から |
| 工作物 | 2026年(令和8年)1月1日以降に着工する工事から |
出典:厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」(建築物石綿含有建材調査者・工作物石綿事前調査者のページ)、環境省「建物を壊すときにはどうしたら良いの?」
建築物について、ポータルサイトでは「令和5年10月1日以降着工の工事から、建築物の解体等の作業を行うときは、『建築物石綿含有建材調査者』、又は令和5年9月30日までに日本アスベスト調査診断協会に登録された者による事前調査を行う必要があります」とされています。
工作物については、「令和8年1月1日以降着工の工事から、工作物の解体等の作業を行うときは、資格者による事前調査を行う必要があります」とされています。2026年の今は、建築物も工作物も、資格のある人の調査が必要です。
事前調査の資格は4種類
| 資格 | 調べられる範囲 |
|---|---|
| 一般建築物石綿含有建材調査者 | すべての建築物 |
| 特定建築物石綿含有建材調査者 | すべての建築物(一般の講習に、実地研修と口述試験が加わる) |
| 一戸建て等石綿含有建材調査者 | 一戸建て住宅と、共同住宅の住戸の内部だけ(共用部分はのぞく) |
| 工作物石綿事前調査者 | 特定工作物(反応槽・加熱炉・ボイラー・配管設備・煙突など17種類) |
出典:厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」
一戸建て等石綿含有建材調査者は、マンションの共用部分や、店・事務所などの建物は調べられません。いろいろな建物の解体・改修に関わるなら、一般建築物か特定建築物の調査者が対象になります。
特定工作物は、厚生労働省の告示で決められた17種類の工作物で、反応槽、加熱炉、ボイラー・圧力容器、配管設備、焼却設備、貯蔵設備、発電設備、変電設備、配電設備、送電設備、煙突、トンネルの天井板、プラットホームの上家、遮音壁、軽量盛土保護パネル、鉄道駅の地下式構造部分の壁・天井板、観光用エレベーターの昇降路の囲いです。工作物の種類によっては、建築物の調査者なども調べられる場合があるので、くわしくはポータルサイトで確かめてください。
どの資格も、都道府県労働局に登録された講習機関の講習を受けて修了することで取ります。
調べ方と、報告が必要な工事
| 決まり | 中身 |
|---|---|
| 調べ方 | 設計図などの書類での調査と、目で見る調査。それでも分からないときは、分析するか、石綿が入っているものとして扱う |
| 記録 | 調査の結果の記録を作って3年間保存する。作業場所にも備え付ける |
| 掲示 | すべての解体等の工事で、周りに住む人と作業する人の両方から見やすい所に、A3(29.7cm×42cm)以上で掲示する |
| 報告が必要な工事 | 建築物の解体は解体する部分の床面積の合計80㎡以上、建築物の改修は請負金額100万円以上など。2022年(令和4年)4月以降に着工する工事から |
| 報告のしかた | 「石綿事前調査結果報告システム」から電子で報告。労働基準監督署と、都道府県など(大気汚染防止法)に報告する |
出典:厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」(工事の元請業者のページ)、環境省「建物を壊すときにはどうしたら良いの?」
報告が必要ない小さな工事でも、事前調査そのものは必要です。ポータルサイトでは、解体・改修工事は「その規模の大小にかかわらず」工事の前に調査が必要とされています。
また、吹付け石綿や、石綿を含む断熱材・保温材・耐火被覆材が使われている建物などを解体するときは、大気汚染防止法で、作業を始める14日前までに都道府県などに届け出る必要があります(環境省)。
この決まりから言えること・言えないこと
言えること
- 解体・改修の工事では、大きさにかかわらず、石綿の事前調査が必要
- 建築物は2023年10月から、工作物は2026年1月から、資格のある人が調査しなければならない
- 調査の資格は4種類で、一戸建て等の調査者は調べられる建物がかぎられる
- 床面積80㎡以上の解体、請負金額100万円以上の改修などは、調査の結果を報告する
言えないこと
- 資格を取ると給料がいくら上がるか。この資料には、給料についての数字はありません
- 調査者が何人いるか、足りているかどうか。この記事で使った資料には、人数は出ていません
- 自分の現場の工事が報告の対象になるか。工事の種類や金額で変わるので、元請に確かめる必要があります
資格を取るか考えるときに
2026年1月からは工作物の調査にも資格が必要になり、解体・改修の工事では、資格のある人の調査が欠かせなくなっています。ただし、次のような人は、この決まりだけで資格を取るか・仕事を変えるかを決めないほうが確実です。
- 今の会社で、だれが事前調査をしているか(社内の調査者か、外の会社に頼んでいるか)を、まだ確かめていない人
- どの資格が自分の仕事に合うか(一戸建て等か、一般建築物か、工作物か)を、まだ比べていない人
- 講習の費用や時間を、会社が出してくれるかを、まだ聞いていない人
まず今の会社での事前調査のやり方と、資格の取得を手伝ってもらえるかを確かめてから、ほかの会社と比べるほうが確実です。
出典
- 厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」(建築物石綿含有建材調査者/工作物石綿事前調査者/工事の元請業者のページ)
- 環境省「建物を壊すときにはどうしたら良いの?」(大気汚染防止法による石綿の飛散防止)


