建設業では、以前は社会保険に入っていない会社や働く人が多いことが問題になっていました。現場で働いていると、「今はどれくらいの人が入っているのか」「自分の会社は大丈夫か」が気になります。
ここでは、国土交通省が2026年3月30日に公表した「公共事業労務費調査における社会保険加入状況調査結果」(令和7年10月調査)から、加入率の推移と中身を並べます。
この記事で分かること
- 2025年10月の調査で、3つの保険(雇用保険・健康保険・厚生年金)に入っている割合は、企業単位で99.1%、労働者単位で95%
- 調査を始めた2011年10月(企業84%・労働者57%)から、労働者単位は38ポイント上がった
- 下請の次数が深くなるほど、労働者単位の加入率は少し下がる(元請98%、1次下請96%、2次下請95%)。職種では交通誘導警備員Bが78%と低い
2025年10月の加入率:企業99.1%、労働者95%
| 区分 | 雇用保険 | 健康保険 | 厚生年金 | 3保険すべて |
|---|---|---|---|---|
| 企業単位 | 99.4% | 99.3% | 99.4% | 99.1% |
| 労働者単位 | 97% | 97% | 96% | 95% |
出典:国土交通省「公共事業労務費調査における社会保険加入状況調査結果の公表」(2026年3月30日)。令和7年10月調査
この調査は、国土交通省と農林水産省が、公共工事で働く建設会社と建設労働者について、年に1回調べているものです。
2025年10月の調査では、3つの保険すべてに入っている割合が、企業単位で99.1%、労働者単位で95%でした。
「企業単位」は会社として保険に入っているかどうか、「労働者単位」は現場で働く一人ひとりが入っているかどうかです。会社が保険に入っていても、そこで働く人が全員入っているとは限らないため、労働者単位のほうが低くなります。
14年の推移:労働者単位は57%から95%へ
| 調査の年月 | 企業単位(3保険) | 労働者単位(3保険) |
|---|---|---|
| 2011年10月 | 84% | 57% |
| 2016年10月 | 96% | 76% |
| 2019年10月 | 98% | 88% |
| 2022年10月 | 99.5% | 91% |
| 2023年10月 | 99.2% | 92% |
| 2024年10月 | 99.0% | 95% |
| 2025年10月 | 99.1% | 95% |
出典:国土交通省「公共事業労務費調査における社会保険加入状況調査結果の公表」。主な年を抜き出しています
調査を始めた2011年10月には、労働者単位で57%でした。現場で働く人の4割以上が、3つの保険のどれかに入っていなかったことになります。
国土交通省の発表では、建設業界は平成24年度(2012年度)から、業界をあげて社会保険加入対策を進めてきたとされています。その後、労働者単位の加入率は毎年のように上がり、2024年10月から95%になっています。
企業単位は、2019年10月の時点で98%をこえ、ここ数年は99%台です。
下請の次数別・職種別:差は小さいが残っている
| 下請の次数 | 労働者単位(3保険) |
|---|---|
| 元請 | 98% |
| 1次下請 | 96% |
| 2次下請 | 95% |
出典:国土交通省「公共事業労務費調査における社会保険加入状況調査結果の公表」。令和7年10月調査
元請の会社で働く人は98%、1次下請は96%、2次下請は95%と、下請の次数が深くなるほど、少しずつ下がります。
職種別では、交通誘導警備員Bが78%、交通誘導警備員Aが92%で、ほかの職種より低くなっています。多くの職人の職種は9割台の後半です。
この数字から言えること・言えないこと
言えること
- 公共工事で働く建設労働者の95%が、雇用保険・健康保険・厚生年金の3つに入っている
- 2011年10月の57%から、14年で大きく上がった
- 元請より下請、とくに次数が深いほど、少し低い傾向がある。交通誘導警備員は低い
言えないこと
- 民間の工事だけをしている会社や働く人の加入率。この調査は公共工事で働く会社・人が対象です
- 自分が入っているかどうか。一人ひとりの状況は、給与明細や保険証などで確かめる必要があります
- 入っていない人がいる理由。この調査からは分かりません
自分の社会保険を確かめるときに
建設業の社会保険の加入は、この14年で大きく進みました。ただし、次のような人は、この数字だけで安心したり、会社を変えるかどうかを決めたりしないほうが確実です。
- 給与明細で、雇用保険料・健康保険料・厚生年金保険料が引かれているかを、まだ確かめていない人
- 「日給だから」「手取りを増やすため」と言われて、保険に入らない働き方をしている人(将来の年金や、けが・病気・失業のときの給付にかかわります)
- 自分の厚生年金の加入記録を、ねんきん定期便やねんきんネットで確かめたことがない人
まず給与明細とねんきん定期便で、自分がどの保険に入っているかを確かめ、分からないことは会社に聞いてから、ほかの会社と比べるほうが確実です。保険の加入についての相談は、年金事務所やハローワークでもできます。
出典
- 国土交通省「公共事業労務費調査における社会保険加入状況調査結果の公表~企業単位で99.1%、労働者単位で95%~」(2026年3月30日)


