一人親方は会社に雇われていないので、そのままでは国の労災保険の対象になりません。そこで、「特別加入」という仕組みで自分から入ることになりますが、「保険料はいくらか」「けがで休んだらいくら出るのか」が気になります。
ここでは、厚生労働省の「一人親方等の特別加入のしおり」(令和8年1月)と、厚生労働省が公表している特別加入の状況(令和6年度末現在)から、保険料の決まり方と金額、給付の中身、加入している人の数を並べます。
この記事で分かること
- 建設業の一人親方の保険料率は1,000分の17。保険料は「給付基礎日額×365日×17/1,000」で、日額1万円なら年62,050円
- 給付基礎日額は3,500円〜25,000円の16段階から選ぶ。けがで休んだときの給付は、休業4日目から日額の60%+特別支給金20%
- 労災保険に特別加入している建設業の一人親方は、令和6年度末で62万4,654人
保険料はいくら?日額1万円なら年62,050円
建設業の一人親方の保険料は、自分で選ぶ「給付基礎日額」で決まります。
| 給付基礎日額 | 保険料算定基礎額(日額×365日) | 年間の保険料(建設の事業) |
|---|---|---|
| 5,000円 | 1,825,000円 | 31,025円 |
| 10,000円 | 3,650,000円 | 62,050円 |
| 20,000円 | 7,300,000円 | 124,100円 |
| 25,000円 | 9,125,000円 | 155,125円 |
出典:厚生労働省「一人親方等の特別加入のしおり」(令和8年1月)。保険料は「保険料算定基礎額×保険料率(建設の事業は17/1,000)」です
保険料の計算は、給付基礎日額×365日×17/1,000です。日額1万円を選ぶと年62,050円、いちばん高い日額2万5,000円を選ぶと年155,125円になります。
建設業の一人親方の保険料率は、令和6年4月から1,000分の17です(それまでは1,000分の18)。令和8年度の労働保険の年度更新の案内でも、1,000分の17と示されています。
給付基礎日額は16段階から選ぶ
| 給付基礎日額 | 保険料算定基礎額 |
|---|---|
| 25,000円 | 9,125,000円 |
| 24,000円 | 8,760,000円 |
| 22,000円 | 8,030,000円 |
| 20,000円 | 7,300,000円 |
| 18,000円 | 6,570,000円 |
| 16,000円 | 5,840,000円 |
| 14,000円 | 5,110,000円 |
| 12,000円 | 4,380,000円 |
| 10,000円 | 3,650,000円 |
| 9,000円 | 3,285,000円 |
| 8,000円 | 2,920,000円 |
| 7,000円 | 2,555,000円 |
| 6,000円 | 2,190,000円 |
| 5,000円 | 1,825,000円 |
| 4,000円 | 1,460,000円 |
| 3,500円 | 1,277,500円 |
出典:厚生労働省「一人親方等の特別加入のしおり」(令和8年1月)
給付基礎日額は、申請にもとづいて労働局長が決めます。しおりでは、所得に見合った適正な額を申請するように書かれています。
低い日額を選べば保険料は安くなりますが、けがや病気のときにもらえる給付も少なくなります。ここがいちばん大事な点です。
けがで休んだらいくら出る?
仕事中のけがで働けなくなったときの休業の給付は、次のとおりです。
| 給付 | 中身 |
|---|---|
| 休業(補償)等給付 | 休業4日目から、1日につき給付基礎日額の60% |
| 休業特別支給金 | 休業4日目から、1日につき給付基礎日額の20% |
出典:厚生労働省「一人親方等の特別加入のしおり」(令和8年1月)
たとえば日額1万円で加入していれば、休業4日目から1日あたり6,000円と2,000円、あわせて8,000円が目安になります。日額5,000円なら、あわせて4,000円です。
休業のはじめの3日間は、この給付の対象になりません。
加入している建設業の一人親方は62.5万人
| 時点 | 加入者数 | 特別加入団体の数 |
|---|---|---|
| 令和3年度末 | 638,812人 | 3,186団体 |
| 令和5年度末 | 624,823人 | 3,125団体 |
| 令和6年度末 | 624,654人 | 3,112団体 |
出典:厚生労働省「中小事業主等特別加入状況」第2-2表(令和3年度末現在・令和5年度末現在・令和6年度末現在)の「建設業の一人親方」の行
労災保険に特別加入している建設業の一人親方は、令和6年度末で62万4,654人です。令和3年度末(63万8,812人)と比べると、約1万4,000人少なくなっています。
一人親方の特別加入は、厚生労働大臣の承認を受けた特別加入団体を通して申し込みます。建設業の一人親方の団体は、令和6年度末で3,112ありました。
また、しおりでは、人を雇う日が1年に100日に満たない場合は、一人親方として特別加入できるとされています。
この数字から言えること・言えないこと
言えること
- 建設業の一人親方の保険料は「給付基礎日額×365日×17/1,000」で、日額1万円なら年62,050円
- 給付基礎日額は3,500円〜25,000円の16段階で、低くすると保険料も給付も少なくなる
- 休業の給付は、休業4日目から日額の60%と特別支給金20%
- 特別加入している建設業の一人親方は、令和6年度末で約62.5万人
言えないこと
- 特別加入団体に払う会費や手数料。団体ごとに違い、この記事の保険料には入っていません
- 一人親方全体のうち、何割が特別加入しているか。一人親方全体の数は、この資料には出ていません
- 自分に合った給付基礎日額。所得や家族の状況によって違います
労災保険の特別加入を考えるときに
一人親方は、特別加入をしないと仕事中のけがに国の労災保険が使えません。ただし、次のような人は、保険料の安さだけで給付基礎日額を決めないほうが確実です。
- けがで休んだときに、1日いくらあれば生活できるかを計算したことがない人(給付は日額の60%+20%です)
- 特別加入団体に払う会費や手数料を、まだ比べていない人(保険料とは別にかかります)
- 自分が本当に「一人親方」にあたるのかを、まだ確かめていない人(人を雇う日が年100日以上あるときなどは、扱いが変わります)
まず休んだときに必要な1日の金額を出し、しおりの表で日額と保険料を確かめてから、加入する団体を選ぶほうが確実です。手続きで分からないことは、労働基準監督署や労働局に確かめてください。
出典
- 厚生労働省「一人親方等の特別加入のしおり」(令和8年1月)
- 厚生労働省「中小事業主等特別加入状況(令和6年度末現在)」「同(令和5年度末現在)」「同(令和3年度末現在)」第2-2表
- 新潟労働局「令和8年度 労働保険年度更新のお知らせ」(第2種特別加入保険料率)


